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感想の練習

300/300 RISE of an EMPIRE

 

300〈スリーハンドレッド〉 コンプリート・エクスペリエンス [Blu-ray]

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順番は前後しますが、「300 RISE of an EMPIRE」と「300」を観た。どちらも字幕。

 

<あらすじ>

「300」

紀元前480年、スパルタレオニダスの元にペルシア帝国からの使者が訪れ、スパルタに服従を要求した。レオニダスはこれを拒否し、使者を殺害した。

レオニダスはスパルタ全軍での迎撃を考えていたが、デルポイの神託によって非戦と決定されてしまった。王と言えども神託には従う義務があり、スパルタ評議会も非戦の方針を支持した。

このままではスパルタは戦わずしてペルシア帝国の支配下に入ってしまう。レオニダスは「散歩」と称して300名の親衛隊を率い、ペルシア王クセルクセス率いる100万のペルシア軍の迎撃に向かった。兵力差は圧倒的であったが、スパルタ軍は峻険な山と海に挟まれた狭い街道に布陣して、ペルシア軍が大軍の利を生かし切れないようにした。

ここに、壮絶な死闘となるテルモピュライの戦いが始まる。

「300 RISE of an EMPIRE」

十年前の戦でペルシア帝国のダレイオス王を射殺したアテナイテミストクレス。それを目にした息子・クセルクセスは王の右腕アルテミシアの囁きによって復讐の炎を燃やし神王となり、ギリシアへ攻めるのであった。

テミストクレス率いるアテナイの兵らはアルテミシア率いるペルシア軍と海戦を重ねることとなる。

歴史を知らないのでざっくりしていてすみません。とりあえずテミストクレスvsアルテミシアの海戦です。今回ペルシア王は少ししか出てこない。

 

 

<二作通しての感想>

とにかく画面が格好いい。構図から色づくり、アクション以外も含めた動き、緩急のつけかた等。とにかくひたすらに格好いい。

画面としてはスタイリッシュ古代ファンタジーアクション映画。やたら広大な土地に広大な建造物(特に二作目)、正体不明の不気味な兵や生き物たち、巨大な月、謎の神輿や船とすごくファンタジー突き抜けてて格好いい。

二作目は続編というよりも番外編的な感じ。てっきりずっと後の話だとばかり思っていたが、前作と密接に絡んでいた。RISEの裏で一作目の戦いが行われている。

雰囲気は少々異なるが、画面の漫画的な格好よさはどちらも全開。

一作目が飽くまでスパルタの、故郷のため、家族のため、仲間のために戦う「戦士としての格好よさ」を貫いているのと比べてしまうと、二作目はその要素が些か弱く見えてしまう。それも人間らしいと言えばそうだが。

ラスボスが女性であり、少々色恋に近い要素が混じるのも軟派に感じさせる原因か。

でもアルテミシアはかわいい。

 

 

以下、本編のネタバレを含みます。

 

<300>

古代ギリシャにおける女性の扱いは国によって様々と聞くが、スパルタではそれなりに高い部類であったらしい。

冒頭、服従を求め訪れたペルシアの使者が王妃ゴルゴの言葉に「なぜ女が口を出す?」と蔑むが、彼女は気丈に「男を生むのは女だから」と応える。それ以外にも無礼だったのと結局服従するつもりはないのでレオニダス王は使者を井戸に落としてすべて殺してしまうのだが、その際にも妻を侮辱したから、というのも理由に挙げられている。レオニダスには常に妻への愛情と同時に深い敬意、尊重が窺える。

とは言っても評議会の議員は男性のみであり、王妃に取引を持ちかけるセロンも好き放題しているので、人によるのかも。そもレオニダスがゴルゴ以外の女性もそれだけ尊重しているかもわからない。だとして家の中でひっそりとしているのでなく、平民の女でも町へ出てなにかしているので、奴隷ではなく普通に人間のように扱われていた様子。

 

私はひねくれているので厳しい訓練を受け厳しい世界で生きて、その果てに戦士となったところで、今度は国を愛し仲間を愛すようになるのがわかるようでわからない(そうした厳しすぎる訓練を己に与えた世界や国、自分をしごいた人を憎まないというのは、なんというか、すごい。思想の教育が徹底されていたのかな)のだが、スパルタの兵らは深く国を、仲間を愛している。愚直なまでの愛情は、美しいと言えないこともない。戦闘での死を最高の誉れとする風潮は日本にもあったが、その感覚はやはり、わかるようでわからない。飽くまで生きてこそであると私は思う。

ともあれ彼らはそうした価値観であるので、「永遠に生きろ」が侮辱になるというのもまた面白い。身体にハンデを抱えて生まれ、そのために国を追われながらも、国のために戦い死ぬ誉れ高い兵士となることを望んだエフィアルテスの悲哀も物悲しい。

 

(古代にしては)自由に生きる女性たちもまた、自由であるということはスパルタの定めの中に生きねばならぬということで、つまりは強くあらねばならない。スパルタの女性の精神の強さは王妃ゴルゴでこれでもかと描かれているが、レオニダスが「スパルタの女だけでペルシア兵を殺せる」と煽るシーンがあるので、戦闘的な訓練も受けているのかな? それだけ強くてもやはり食い物にされるようにも見えてしまうのも悲しい。報復するけど。(実際はあれを食い物にされていると感じてしまう私の感覚の問題であるかもわからない)

というかセロンが小さい男すぎる。あれだけ男尊女卑でありながら結局取引(果たさないけど)の代償にはゴルゴの体を求める。女を卑しんでいるけどセックスはしたい。卑小すぎ。

迷ったレオニダスはゴルゴへ相談するし、ゴルゴもそれへ真摯に答える。その関係は正しくパートナーであり、最高の夫婦。その描かれ方はさっぱりしていてよい。

ゴルゴはセロンの取引に応じてセロンとセックスするわけで、そこに勿論嫌悪感はあるのだが、不貞として強調する感は特になく、飽くまで「持てる物は使う」感じであるのもよい。

 

主軸は国のため、仲間のため戦うレオニダスや兵らなのだが、そのへんはひたすら格好いいが思想としては共感できないので特に言うべきことはない。

レオニダスの友である隊長の息子が死に隊長が激昂するところなどは様式美という感じ。戦闘の悲惨さを描くストーリー的な物語としてはよいが、お約束なのでまあ、そうだよね、となる。

これは個人的な趣味だが、レオニダスが友であるディリオスを、最後の戦闘へ赴く前、最後まで共に戦うことを求める彼へ評議会への言伝を託し国へ帰らせるのがよい。

それと最後に隊長が、レオニダスへ「あんたと死ねてよかった」と言うのに対して王は「おまえとともに生きられてよかった」と応えるのが熱い。

自分の死んだ未来のため(すごく意訳)に戦う、という信念は正直なところ理解できないし現代でそういうことしますと国に言われたら反対するが、「自由のために戦う」という点では共感できるし、やはり彼らの戦士としての信念や生き様は並々ならぬものであると感じられる。直接自分の益になるかというとならないのだけど、それでも「自由のためにペルシアと戦い彼らへ一矢報いたスパルタ兵がいた」という事実を残すために戦う、というのは大変ストイックで、なんというか、すごいですね。(小並感)

 

あとレオニダスが神託を得に行ったところでの託宣者の踊りがとても画面的に美しい。最高。

実際はアポロンの神殿では閉経した老女が巫女らしいので漫画の画的な都合での改変かなという印象だけど、神殿に住まう異形の男たちへと美しい少女が捧げられて、好き放題されてるっていうのとても耽美で好きです。

非戦の宣託を受けて困りながらも「託宣なんて酔った娘のたわごと」と言い切っちゃうレオニダスもクール。スパルタ人は信心深いそうなのでこのへんも物語的な改変なのだろうな、とも思うのだけど、本当に全編通して画的、物語的、キャラ的な「格好よさ」への徹底的な追及が見えるのがとても好ましい。

 

ペルシアについて触れてなかった。スパルタが剣のファンタジーであるならばペルシアは魔法のファンタジー。

薄暗く不気味な、そして尽きることなく向かい来る得体の知れぬ兵、魔術のような武器や攻撃、見たことのない異形の生き物たち。そしてそれに対抗するのは盾に剣と槍を持ち、兜以外は防具も纏わぬ、己の体と培った技術、そして仲間との連携のみを頼みとした屈強な男たち。その清々しいほどの対比も美しい。

神王として君臨するペルシア王・クセルクセスもまた特になんの説明もなく、ただ圧倒的な存在として描かれているのがよい。最高に王。慈悲を欠片も持たぬが故に慈悲深い。それは自軍の将らへの容赦のない罰と、ペルシアへ寝返ったエフィアルテスへ惜しみなく与えられた温情からも窺える。王好きは観るべき。

 

 

<300 RISE of an EMPIRE>

土砂降りの海岸、ギリシア軍とペルシア軍の白兵戦のさ中、テミストクレスは海上のダレイオス王へと弓引く。それに気がついた息子、クセルクセス(この頃は普通の人間)は父の元へと走るものの間に合わず、テミストクレスの射た矢は王の胸を貫く。父の体を抱きとめて、クセルクセスは矢を射た男、テミストクレスを見つめる。その瞳を見て、テミストクレスは「息子も殺しておくのだった」と後悔する。そしてその後悔は、彼の生涯を~~ みたいなお約束のかっこいい感じに始まるわけですけどもうこの時点で格好よすぎ。

雨降りしきる中でのテミストクレスの無双がもう格好いい。ざっくざっくと敵兵たちを切り倒す。私は三次元のグロが苦手なのですが、あまりにスタイリッシュなので300のグロは全然平気でした。緩急の付け方が本当に格好いい。そして惜しげのない刃の切れ味というべきか、そんな切れねえよという疑問を挟ませぬ勢いで敵兵の手足を両断する。一作目もだけど二作目のほうがより切り落としていた気がする。

 

で、そこからのペルシアのターンがまたファンタジー全開ですごい。城でかすぎ。国広大すぎ。そして周囲はすべて砂漠。ファンタジーRPGに出てきそう。一作目以上にファンタジーで格好いい。個人的にはラストのアルテミシアの戦装束というか、背骨に沿って棘があるのが格好よくて好きです。

ここからクセルクセスが一作目のあの神王になるまでの流れなんですけど、ここがまた最高にファンタジー。「えっ なんで?」と思う余地を挟ませぬ圧倒的ファンタジー。面白すぎ。なんでだよ。邪悪な力なら仕方がない。なぜそうなった。

で、彼がそうなるためにダレイオス王の右腕であったアルテミシアが裏で糸を引いていたという話で、アルテミシアにとってクセルクセスは傀儡なわけだども、ここは圧倒的な王好きとしては少々残念でした。でもアルテミシアは強くて有能であることを示すためだというのはわかるので仕方がないかなとも思う。

ギリシア生まれでありながら家族をギリシアの市民兵に犯し殺され、自身もまた奴隷として扱われ、打ち捨てられたところをペルシア人に拾われて、戦いの教育を施されその残虐なまでの強さによって右腕にまで成り上がった、というアルテミシアの設定がまず最高にファンタジーでおいしい。そういうのとても好き。

そんな残虐な子だけど「なんで私の命令に誰も応えてくれないの!(無能すぎて)」という憤りから「テミストクレスみたいな優秀な部下ほしい」になってしまう。これとてもおいしいけどえーーと憤るところもあって複雑。普通の恋愛じゃないだけましか。

そんなアルテミシアが戦いの夜にテミストクレスを招き仲間にならないかと呼びかけ誘惑するのだけど、テミストクレス(独身)は誘惑に乗ってセックスはするけど誘いは断る。お、おまえ……セックスするんかい。セックスはするけど断るんかい。そりゃアルテミシアも怒るよ。

でも流れ的にまあそうなったらセックスはするよなという流れももわからないでもない(レオニダスだったら断りそうな感じもするけどやはりセックスはしそうな感じもする)。ともあれここの二人の戦うようなセックスは大変よい。でもアルテミシアが喘いでるところで外の兵ら映すのは面白すぎるのでやめてほしい。

そこからまた船に乗って帰って仲間に「どんな話だった?」と訊かれるのもじわじわ面白くてつらい。それに「明日は総力をあげてつぶしに来ると思う」って返すのもつらい。怒らせたのおまえだろうが。つらい。

まあセックスも断ってても結局怒りはしただろうなと思うけど。

 

アルテミシアに射た矢によってテミストクレスの友が死に、息子がその体を抱きとめたところではこれは憎悪が永劫に輪廻するパターンだな、と思ったのですが特にそんなこともなかったのは安心した点であり残念な点でもある。

ちょくちょく映る船を漕ぐ奴隷達の様子もなんとも物悲しくて世界観を端的に見せていて良い。腕をオールに括り付けられた奴隷たちは船が沈むとともに沈むしかない。

 

海戦の様子も画面的に見ていて楽しい。ペルシアの豪奢な、やたらファンタジックな船に対してアテナイの船は木製の、デッキがあるだけのぼろ船。船の数も大層違う。

小ささ故の小回りを利用してペルシアの横腹を突いたり、策を弄してどうこうしたり、敵の戦場に乗り移っての白兵戦だったり、なかなか前作とはまた異なる様々な戦闘を展開してくれて面白い。

 

 

概ね言いたいことは言ったのでこのあたりで終わります。

とにかく画面が格好いい、戦士たちが硬派で格好いい(一作目)、二作目も一作目ほど突き抜けた硬派ではないが人間らしい戦士たちの生き様がよい、アルテミシアがかわいい、ペルシアのファンタジーぶりがすごい、などなど、個人的にはまったく共感できないながら戦士の生き様というものはとても好きで、自由のための戦いというテーマも大変好みでした。

感想をまとめると改めて二作は少々毛色が違うけれど、画面の格好よさは共通して徹底されている。ありていに言えば二作目のほうが大衆向けに迎合した感じ。

漫画的な世界観を格好いいまま、三次元で表した監督はとてもすごい。エンディングも両作大変格好いい。

これはペルシアとギリシアの決着がつくまで続くのかな? 何年後になるかはわかりませんが、次作が楽しみです。