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感想の練習

塔の上のラプンツェル

 

塔の上のラプンツェル [DVD]

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アナと雪の女王」で五年以上ぶりにディズニー映画を観て、これが実に良かったので、以前から噂には聞いていたこちらも観てみた。
あらすじは省略。以下、ネタバレを含みます。
 
アナ雪のように琴線に触れたわけではないが、普通に良作品でしたって言っても天下のディズニーだからそのあたりが安定しているのは当たり前なんだけれども。
映画の90〜120分でできることには限度があって、スタンダードな構成で最大限できることをしているお手本とでも言うべき内容だった。アナ雪は中盤からラストへ向かうところが三手にわかれることもあり、少し煩雑に感じる。
具体的には、
現状説明→出会い→小事件1.2→目的の達成→大事件→解決
となる。
主要な場面にはすべて山場が入っているが、小事件2(兄弟、衛兵からの逃亡、二人の打ち解け)の後すぐに大事件(二人は引き裂かれ、ラプンツェルは魔女に取り戻されフリンは捉えられ処刑されることになる)へは移行せず、間に目的の達成(+恋愛の成就(仮))が挟まれるため同じ山場であっても緩急がある。
また、小事件の解決でほっとひと段落ついたところに魔女が暗雲を落とし(ティアラを返せばおまえは用済みとラプンツェルへ囁く)、その不安を次いだ恋愛の成就(仮)によって振り払い、その直後魔女の策略に二人が引き裂かれることで完全に回収される、という流れも綺麗だ。
 
字幕、吹替と少し休みを挟んで続けて見たのだが、小事件2、特に打ち解けまでに限って言えば時間としてもかなり短い事象となっていることに二回目で気がついた。
ラプンツェルを諦めさせようとゴロツキたちの集まる店へ入ったフリンが、ゴロツキたちと打ち解ける彼女に感心することも布石ではあり、また命を追われながら協力して逃亡した末の絶体絶命、という流れもお約束ながら綺麗で、そこでさらに説得力を持たせるのはアクション、スピード感、映像の迫力等の勢いである。
さらにそこから恋愛の成就(仮)、つまりラプンツェルが旅の目的を果たして誕生日に昇る灯りをフリンとともに見、互いに相手を思うことに気がつくまでは完全に力技と言ってもよく、映画的なシーンとしては城下町に着いてからの一曲に集約されてしまう。この力技がすごい。時間としても、精々昼から夕方までのことだ。と言っても、恐らくこれは丁寧に出来事を描くよりも、ああして曲に載せてダイジェストとしたほうが説得力が増すのではないだろうか。どうでしょう。
映画自体物語の構成の参考になるものは多いが、特に改めて考えてなるほどと思わされた。
 
構成については特別なことが言えるわけでもないのでこれくらいにして、魔女とラプンツェルの仮初の母子関係はなんとも見ていてずっしり来た。
特に所謂毒母である魔女に拘束されながらも、愛情を信じ、出て行きたい感情と出て行こうとする己は親不孝者だとの自責の念とに葛藤するシーンはコミカルに描かれているが、なんとも重い。そこへつけ込んで、理解はあるが母は心配するだろうなと罪悪感を煽るフリンは流石のくそやろうである。
利己主義であり自分本位な魔女も、長年母子を演じることでラプンツェルへ情を持ち始めていなかったわけでもないのだろう(その情は母子関係と同じく、ラプンツェルが彼女のお花で居続けた場合のみの仮初ものに過ぎないが)、序盤でのいじわるな言葉と冗談よ可愛い娘と繰り返す様はどうにも不気味だった。
互いに確かめるように愛してると言い合いながら、その脱却は彼女が真の母ではないことを知ることによってあっさりと行われる。それは些か残念であるが(現実の多くにそのような解決はなく、またそうであったところで、苛まれた長い時は返ってこないし、それからも苦悩は続く場合も多い)、物語にそこまでを求めるのは酷か。子供向けだし。
とは言え子供向けであれラプンツェルをゴロツキの集まる店へ連れて行くフリンの畜生ぶりには驚いた。
 
私自身としては悪人の改心というものはあまり信じておらず、そういうことをする人間が打ち解けて自分には優しくなったところで、他所ではまた同じようなことをしているのだろうと思ってしまうのでいまいち納得できないところもあるのだが、めでたしめでたしとは上級魔法のようなものなので(二人は死ぬまで幸せに暮らす)、あまりつっこみどころでもない。
好き度は百点中六十くらい。