wakudeki

感想の練習

Fate/Staynight [UBW]

 

 

 

テンポがあまりよくない。Fate/Zeroで同監督が担当した切嗣過去回でもその感はあるのだが、わりと全体的に静かで淡々としたものが得意なのかもしれない。Zeroでの過去回は二回だけであり、展開自体は単純だったので山がないとは感じなかったが。緩急やスピード感をつけるのが苦手なのかな。

 

ufotable が作るfateは、Zeroとあまりに地続きすぎる。

Zeroは前日譚であるが、書き手が異なるし、SNとは別作品である。なにより世界に対する姿勢が世界そのものの持つ慈悲の総量が違う。(無論言うまでもなくより無慈悲であるのは虚淵の描く世界であるが、きのこの世界が慈悲深いというわけでもない)

全く異なる書き手が、同じ作品、同じ舞台、聖杯戦争という同じ題材について描いたという点でZeroは面白いのだが、それと地続きでSNをされると少々違うように感じてしまう。なによりZeroはどこか湿っぽさのあるハードボイルドである一方、SNの根底は熱血系エロゲである。SNにZeroの流れの湿っぽさが混ざってしまうのは少々元の作品と異なってしまうのではないだろうか。まあきのこが嬉しいのならそれでいいです。

追加エピソードも嬉しいのと複雑なのと半々。アトラムはとても嬉しい。リズセラの死亡シーンも嬉しい。ギルガメッシュは贋作者には厳しいが人造人間にはやはり優しいのだな。ギルガメッシュの描き方はZeroに近いように感じた。ufoは王厨なのかな? わかるけどSNのギルガメッシュは泥に汚染されてZeroと比較すると多少とち狂っているのが好きなので意外ではあった。

イリヤバーサーカーのエピソードは蛇足に感じる。二人に絆はあったと思うが、あそこまではなくていい。物語をなぞり直し続けていると、なかったものや少ししかなかったものが、いつの間にか肥大化していたりする。(これは二次創作者としての自戒でもある) アイリの姿をした泥がエンドクレジットに「アイリスフィール」でなく「ホムンクルス」と表記されていたのは熱かった。

士郎とアーチャーが戦う回、その前後の構図の描き方は美しく、わかりやすい。私は物語や人間関係における構図萌えであるのだが、物語をそのままだらだら流すと構図の表現というのはしづらくて、説明するにも冗長になりがちなのだが、端的にわかりやすく、そして熱く表現されていた。でもやはりスピード感ある熱血な戦闘として描いてほしかったという気持ちもある。少し感傷的過ぎるし湿っぽすぎるんだよな……。

 

総合するとアニメとしては今ひとつだけど映像化としてはとてもハイクオリティ、多くのファンを満足させるものだっただろうと思うが、新規には今一歩優しくない(Faterはルートを順に見るべきという点に関してはアニメ放送に合わせてFateルートを無料配信したというのはとてもすばらしいサービスだった)。HF映画も楽しみ。