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感想の練習

「さよなら神様」・麻耶雄嵩

 ※ものすごくざっくりした感想かつネタバレを含みます

さよなら神様

さよなら神様

 

 

 

 神様ゲームに比べるとひとつひとつのオチの衝撃は少ない(あっちは長編だしね)が、個人的にはこのシリーズは短編のほうが合っているように感じた。神様ゲームは少し長すぎたというか、読んでいる間かなりだれる。麻耶は文章自体や描写自体に面白みのあるタイプではないので、長いとどうしてもだれてしまう。

 このシリーズは特に一人称である主人公らの年齢と、掲載誌が子供向けであることからか(掲載誌が子供向けなのは神様ゲームのほうでした)文章や言葉遣いなど平易めに書かれている(にしても小五でそんな言葉を使うか? 言い方をするか? という点はいくらでもあるが、小説だなと思っているのでそこまで気になるほどではない)こともあってか、描写自体はほほすべて限りなくふーん……という感じ。子供同士のやりとりも本を投げるほどではないにせよ、別段笑いどころはない。

 そういう意味でもやはり展開が早くオチも早い短編はよい。私は謎解き部分にあまり興味がないので、そのあたりがさくさくいくのもよい。

 

 それにしても「初めに神様が犯人の名を教えてくれる」という形がある程度決まっているので、それぞれ異なる話として区別をつけるのは大変だっただろう。それで言うとやはり「バレンタイン昔語り」が目覚しい。目覚しいがトリックとしてはありきたりかなという気もしないでもない。

 「バレンタイン昔語」からラストの「さよなら、神様」までは話も一つながりになっていて怒涛。展開のみならず人も怒涛の勢いで死ぬが、人死にすぎというつっこみは野暮なのはわかる。というのはともかく、大オチ。

 麻耶作品なので最後に落とすことはわかっていた。なので(邪道を承知で)落とされる覚悟で読んでいた。そして予想の通り、ラスト、市部こそがすべての始まりであり、多くを仕組んだ犯人であるのではないだろうか、彼女の頭の中をひとつの答えが過ぎる。そしてそれが正しいと、どこかで彼女は知っている。唯一彼女を救い、支え続けた彼こそが、彼女の苦しみの根源であり作り手であった。その事実を悟り、彼女の心は絶望の底へと落ちる、落ちるはずだった、けれど彼女は絶望しない。たったの一文ですべての絶望を跳ね除けて、シャットアウトして、二度と思い返さない。

 それがよいことか悪いことか、あるいは彼女が強いのか、愚かであるのかはわからない。そのいずれもでありそうだ。なんであれ、彼女が絶望の淵に立つことなく物語は終わる。

 彼女がこの先どうなるとしても、少なくともこの物語においては、その事実だけでよいのではないか、と、そんなふうに思えるのだ

 

 

(この文章は満腹の眠気と戦いながら十五分程度で書かれました)